雲のなかの安蔵里

東京生まれの元経済誌記者が福岡にやってきて本気で農業の活性化に取り組むブログ

ゴールボール日本女子代表がロンドンパラリンピックで金メダルを獲得した、たったひとつの作戦

f:id:hidekishimizu:20150425200403j:plain

 

ゴールボールという競技をご存知でしょうか?

ゴールボールは、視覚障害者の球技であり、パラリンピックの正式種目です。ルールはシンプルで、3対3で行い、選手はそれぞれアイシェードと呼ばれる目隠しを装着します。ボールには鈴が入っていて、相手ゴールにボールを投げ入れたら得点になります。当然、選手は聴覚だけでボールの場所を察知しなければいけません。

 

先日、ゴールボール日本女子代表の主将である浦田理恵選手のお話を聞くことができました。

 

浦田選手は大学在学中の20歳のときに網膜色素変性症という病気が発症し、両目の視力を失いました。両親にそのことを打ち明けるまでにかかった時間は実に1年半。ショックのあまりしばらく引き篭もり生活を送っていたそうです。

お会いしたときは、眩しいくらいの明るい笑顔でしたが、前向きに生きるために彼女は壮絶な戦いをしてきたことは想像に難しくありません。

浦田選手は学生時代、体育の成績は2か3だったそうですが、ゴールボールに出会い、久しぶりにスポーツに取り組むことになりました。

まだまだ競技人口が少ないスポーツですが、彼女の努力が実り、いつか日本代表として活動するようになりました。


しかし、次に待ち受けていたのは世界との壁です。

華奢な日本の選手と違い、パワープレーを仕掛けてくる外国人選手たち。ある時の海外遠征で、相手選手のボールを体で受けた浦田選手は肋骨を骨折してしまったそうです。

ロンドン五輪を控えた日本代表チームは、世界で勝つためにたったひとつの作戦を決めます。

 

それは、「チームワークで勝つ」ということ。

 

ゴールボールは3人でディフェンスをしますが、通常自分の持ち場だけを守るそうです。特に、外国人選手はその傾向が強いので、3人で全てのゾーンを守ることで、ミスを減らそうという作戦です。

普通だったら欲張って「変化球を覚える」とか「スピードで勝負する」とかアレコレ作戦を立ててしまいそうですが、彼女たちは「チームワーク」1点に絞りました。

 

最終的に、この作戦が成功し、強豪中国を決勝戦で無失点に抑え、金メダルを獲得しました。

 

たったひとつの作戦に絞る潔さ、そしてその作戦を信じる強い気持ち。

そういったものの大切さをゴールボール日本女子代表は教えてくれました。


5月からはリオ五輪の予選が始まるそうです。
連覇は至難の業ですが、日本代表の活躍を願わずにはいられません。